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平成という時代に感謝して令和を迎える。

平成は昭和64年1月7日に昭和天皇が崩御され、翌日の8日からスタートした事をググって思い出しました。


実は佐賀市の副島硝子工業株式会社を退社した私は、同会社の営業担当のM氏に手伝っていただいて、昭和64年1月7日の夜に2トントラックをレンタルして佐賀市のアパートから広島県福山市へと引っ越していたところでした。タイミング的に昭和天皇が崩御された日だったということで、高速道路の福山インターを出たところで警察に呼び止められ、荷台の中身を確認させて欲しいと要求され、荷物検めとなりました。当時は国内で不穏な動きがあってはならぬと、全国で厳戒態勢が引かれていたような記憶があります。


そういう出来事があり、私にとっては平成という時代が引っ越しの最中で、あわただしくスタートしたのです。


福山市のF先生の工房でまる3年間修業して、平成4年に独立して自分の工房を持ちました。バブルはすでにはじけていましたが、世の中の景気は概ね良い状態を保っていまして、ガラス作家としてスタートする時期としては申し分のないタイミングでした。展覧会初日にたくさんのお客様がいらっしゃって、あっという間に作品が20~30万円売れていくという現象が起こりました。そしてそういうことが10年近くも続きました。


これは展覧会を開催するギャラリーにも恵まれたのでしょうが、当時岡山ではまだ吹きガラス作家が数えるほどしかいなかったのも幸いしたのだと思います。とても恵まれたスターを切ることができ、私にとって平成という時代は前途有望であることを疑う余地がありませんでした。


展覧会の売り上げが明らかに少なくなり始めたのが10年前からで、平成21年以降は売り上げがずるずると下降線を辿っていきました。最後の10年間は本当に苦しい時代に突入したと実感しました。つまり平成の時代は初めの10年間はとても良く、次の10年間は売り上げが減ってきたとはいえまだ希望があった時期で、最後の10年間はとてもきつかったといえます。ですので平成20年以降に独立して作家活動を始められた方と私は、たぶん会話が成立しないくらい意識の隔たりがあったのだと思います。生きている時代が違うというか、吸っている空気がもはや異なっているようなと申せば良いのでしょうか。


こうしてみるとガラス作家としては、平成は概ね良い時代だったと言わざるをえません。苦しい時もありましたが、良い想い出もたくさんあります。


平成天皇皇后陛下には、長年のご公務お疲れさまでした。またありがとうございましたとお伝えできればと思います。


平成に感謝して、令和を厳かに迎えたいと思っています。









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